研究室での私の考え(読み流してください)

新しくポスドクや大学院生が来るというので、一応決まりのようなものをつくってみました。中には子供じみたものもあるなあと思いつつ、確認することを含めて書いています。(みんな守ってくれるかなあ?)


 長い時間実験することを評価する研究者もいるようですが、私はあまり好きではありません。1日12時間実験するのと18時間実験するのにそれほどの違いを感じないからです。やはり本当に集中して実験できるのは12時間が限界ではないでしょうか。


 長い時間実験することに一生懸命になるよりは、ひとつ一つの実験に頭を使って欲しいと思います。少し考えて実験すると成果は2倍にも3倍にもなります。1日に24時間や36時間実験することは不可能ですが、頭を使えばそれだけの成果はあげることができるのです。ちょっとしたことに頭を使えるかどうかが成功の鍵を握っていると思います。


 論文の数をたくさん出すことや少しでもインパクトファクターの高い雑誌に論文を出すということを第一に考えることには疑問を感じます。研究はだれのためにあるのかと思うとき、社会に役立つことを優先すべきではないかという気がします。これが、結果としてインパクトファクターの高い雑誌に掲載されることが多いと思いますが、そうではないこともあります。実験に取り組むときは、この研究がうまくいけば、どれほど社会に役に立つかということを常に意識して取り組むことが必要でしょう。


 苦しい実験の中でも楽しさを見つけることができれば幸せだと思います。これまで、私はなかなか楽しみを見つけることができなかったのですが、これは私自身に原因があると気づきました。幸福か不幸かは、多くは自分自身が決めているのだということです。


 純粋な基礎研究は、かなり進んでいると思いますが、病気に関する研究は少し遅れているのではないでしょうか。これは病気のことを研究すべき医学生の多くが臨床医になるからだと思います。薬学部、理学部、農学部のマンパワーで基礎研究は充実しているようですが、こうした理系出身者で病気の解明に興味がある方は、ぜひ私の研究室に来ていただきたいと思います。私は医者ではありませんが、多くの病気を解明することはとても大切であると思っていますし、やりがいも感じています。研究を通して少しでも社会に貢献できればと思っています。特に最近では、心臓疾患、中枢疾患、膠原病に力を入れています。
 こうした病気の解明に興味がある方は、ぜひ私の研究に参加してください。一緒にがんばりましょう。


 前置きが長くなりましたが、約束ごとを書いています。最初以外は破ってもたいした影響はありません。気休めみたいなものです。(読んだ後に時間のむだだったなんて思わないでくださいね。)

研究室での約束
● 研究室でのデータは絶対に他の人に話してはいけない。(公表前に不用意にしゃべることがないようにくれぐれも注意してください。)

●朝夕の挨拶は必ず行ってください。(朝、大学に来たとき、また、帰るとき、周囲にいる人にあいさつをしてください。また、他の研究室に人に会ったときもあいさつをするように心がけてください。)

ベストの状態で実験ができるように体調の管理をしてください。(疲れてきたときは早めに休みをとり、体調の維持管理を行ってください。)

●研究は常に朝型で行ってください。また、実験中は集中して仕事をしてください。(だらだらと長い時間、研究室にいることを評価しません。また、意味もなく夜12時以降に研究室にいることがないように気をつけてください。)

●実験ノートを正確に記載してください。(特に日付、試薬の分量、会社名、できればロットなどその都度、記載する習慣をつけてください。)

他の人から実験を習う時は、2度と聞くことがないようにできるだけ細かくノートに記入してください。(どうしてもわからないときは聞いてください。わからないまま絶対に実験を行わないでください)


実験ではポジティブコントロールとネガティブコントロールを忘れない。(これを意識するくせがないと何をやっているのかわからなくなります。これは約束とは少し違いますが。)


●実験を常に最優先させて仕事をしてください。(セミナーや食事などできる範囲内で実験を優先させてください。)


● 研究室の人と協力して仕事をしてください。また、困っている人がいればできるだけ手助けをしてあげてください。(ただし、自分の仕事をだめにしてまで他人の仕事を手伝うことがないようにしてください。)


当然のことばかりですが、当然のことを積み重ねて新しいことが生まれます